特集 循環器疾患1
【コラム】胸痛患者,ERでのlow risk群の見分け方—どういった患者は帰宅可能か?
舩越 拓
1
,
本間 洋輔
1
,
志賀 隆
1
Hiraku FUNAKOSHI
1
,
Yosuke HOMMA
1
,
Takashi SHIGA
1
1東京ベイ・浦安市川医療センター 救急科
pp.714-722
発行日 2015年9月1日
Published Date 2015/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900229
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悩ましい患者への対応
胸痛を主訴に来院する患者は救急外来(ER)において5〜8%1)といわれている。その原因は,呼吸器系,筋骨格系から不定愁訴まで多岐にわたるが,そのなかに虚血性心疾患などの致死的疾患が潜んでいる。ERで急性冠症候群(ACS)を見落とす確率は2〜5%2)といわれているが,見落とした場合,ACSによる30日後死亡率は2倍近くに上昇する3, 4)ため,見落とさないことが重要となる。
症状が典型的で心電図で明らかなST上昇がある場合は,診断が比較的容易であることは論を待たない。しかし,トロポニンの登場などで非ST上昇型急性冠症候群(NSTE-ACS)という概念が生まれたことで,ACSの診断精度は向上し,予後改善にも貢献した一方で,逆に解釈すべき情報が多くなり,帰宅か入院かの判断は難しくなっていると言っても過言ではない。
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