特集 胸痛患者をみたら
プライマリ・ケアにおける胸痛の見分け方,診断の進め方
三田村 秀雄
1
,
長谷川 祐
1
1東京都済生会中央病院
キーワード:
急性冠症候群
,
大動脈解離
,
肺塞栓
,
気胸
,
食道破裂
Keyword:
急性冠症候群
,
大動脈解離
,
肺塞栓
,
気胸
,
食道破裂
pp.194-200
発行日 2006年3月1日
Published Date 2006/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100248
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
胸痛,という症状はプライマリ・ケアにおいて最も頻繁に出会う症状の1つである.しかも最も診断の難しい症状の1つでもある.診断の遅れ,誤りは時に生死に関わる.となると現場にいるすべての医師に,的確な問診を短時間で行い,最小限の時間で診断を進め,必要な治療を速やかに施すという,効率的かつスピーディーな対応が要求される.
鑑別一覧表は無用
胸痛をきたす疾患は決して少なくない.そのために長い疾患一覧表も用意されてはいるが,多くの場合,無用の長物である.覚えられないし,かといって現場でいちいち本を開いてそんな表を見ている暇もない.疾患がばらばらに列挙された一覧表を覚えるより幾分マシなのは,体の外から内へと系統的に鑑別疾患を並べてみる方法である.皮膚,胸壁,肺,心臓と大血管,消化管,といった順に疾患を思い浮かべるのである.見落としを防ぐには良いが,このような覚え方は試験に合格するには好都合かもしれないが患者のためにはならない.順番に1個1個否定していくだけで日が暮れてしまう.
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.