特集 循環器疾患1
【コラム】虚血で生じること—症状と心電図変化の前に心臓の変化は起きている
永井 利幸
1
Toshiyuki NAGAI
1
1国立循環器病研究センター病院 心臓血管内科部門 冠疾患科
pp.606-611
発行日 2015年9月1日
Published Date 2015/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900218
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1977年,ドイツの循環器専門医Andreas Grüntzig(1939〜1985)が考案した冠動脈拡張用バルーンカテーテルによる虚血再灌流療法の開始をきっかけとして,特に急性冠症候群(ACS)への急性期治療戦略は劇的に進歩した。それにとどまらず,安定虚血性心疾患(SIHD)に対するカテーテルインターベンションも,そのデバイスや技術の進歩により,特に慢性冠閉塞に対する治療成績が向上した。一方で,我々が決して忘れてはならないのは,虚血性心疾患に対する血行再建術を行う際,虚血により心筋にどのような変化が生じ,再灌流療法によりどのような恩恵が受けられるのかを,病態生理ベースで正確に理解しておくことである。
本稿では,心筋虚血により生じる機能異常を,スタニング(気絶心筋),ハイバネーション(冬眠心筋)などの概念にふれ,臨床例をイメージしながら理解できるように概説する。
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