Japanese
English
Bedside Teaching
脳血管障害時の心臓障害—心電図変化を中心に
Cardiac disorder associated with cerebrovascular accident:With Special reference to electrocardiographic changes
望月 茂
1
,
仁木 偉瑳夫
1
,
中村 喜久生
1
,
稲垣 末次
1
,
関 浩
1
,
奥 孝行
1
Shigeru Mochizuki
1
,
Isao Niki
1
,
Kikuo Nakamura
1
,
Suetsugu Inagaki
1
,
Hiroshi Seki
1
,
Takayuki Oku
1
1国立八日市病院内科
1Internal Medicine, Yokaichi National Hospital
pp.575-581
発行日 1984年6月15日
Published Date 1984/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204458
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I.脳血管障害時の心電図変化
1)脳血管障害時の特徴的な心電図変化(図1,図2)
1947年Byerら1)は脳血管障害に伴う心電図異常を初めて報告した。1953年Levine2)はくも膜下出血の症例で,心電図所見より心筋梗塞と診断したが,剖検ではWillis動脈輪の動脈瘤破裂を認めるのみで,心臓は正常であった1例を報告した。それ以来脳血管障害に伴う心電図異常の報告は多い。
脳血管障害時にみられる心電図異常の頻度は報告者により異なる。Ilinskiiら3)は,脳血管障害311例(脳虚血192例,脳出血119例)の急性期に68.5%が心電図変化を示したと述べている。Fentzら4)は脳血管障害の内頭蓋内出血では71%に,脳梗塞では15%に心電図異常を認めたという。心電図異常の出現頻度が最も高いとされるくも膜下出血に限ってみると,高田ら5)は61例中43例(70.6%)に,Kreusら6)は35例中25例(71.5%)に,Eisaloら7)は20例の全例に心電図異常を認めている。くも膜下出血に次いで心電図異常が多いのは脳出血であり,脳梗塞(脳虚血)では異常心電図を示すことは少ないといわれている4,6,8)。一般に脳血管障害発症後早期ほど心電図異常の出現頻度は高いといわれている。
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