今月の主題 冠硬化症の新しい知見
冠硬化症の診断
心電図における虚血性変化
長尾 透
1
,
飯田 龍一
2
1社会保険中央総合病院
2社会保険中央総合病院・循環器科
pp.166-171
発行日 1973年2月10日
Published Date 1973/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204598
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心電図における虚血性変化の臨床的判読
心臓の虚血性変化の表現として,心電図における,重要で,かつ特異的情報として,狭義にはST-Tの変化があることはいうまでもない.しかも,この所見は現在,他の非観血的検査法では,これに代わる検査法は見当らない.また心電図所見のST-Tの変化の中には,臨床的に判読に苦しむことがしばしばある.一方,広義に解釈すれば,虚血性変化の所見としては,ST-Tの変化にとどまらず,各種伝導障害も,不整脈も虚血のための表現として,心電図にあらわれるのである.
このように考えると,最も重要で,実際的にはその判断に苦しむことが多いのは,心電図における虚血性変化を心電図の単純な形の中から如何にして引き出すか,さらにこの所見を,単なる機能的の所見の中から総合的に鑑別するかが問題となる.最近の心電図における虚血性変化の推定は,このように,心電図の小さな形の変化にのみ目を奪われることなく,虚血性変化の起こる背景を広く,総合的に考えながら,心電図の隠された情報をとり出すことにつきると思う,以下限られた紙数の中ですべてをつくすことは困難なので,不整脈の虚血性変化についての詳細は本稿では除外して,広い観点から,実例をお目にかけながら述べてみたい.
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