特集 感染症2
はじめに|再び感染症について─さらに一歩深く,広く!
岡本 耕
1
Koh OKAMOTO
1
1東京大学医学部附属病院 感染症内科
pp.413-418
発行日 2017年9月1日
Published Date 2017/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900001
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■感染症は,ホスピタリストの守備範囲の真ん中にある
ホスピタリストがカバーする広い守備範囲のなかでも,感染症が重要な部分を占める分野であることに異論がある人は少ないだろう。一方で,出会う頻度,疾患の多様性に比して,感染症専門医の数は1,500人に満たない(うち300人弱は小児科医1))。現在,病床数300以上の医療機関は全国に約1,500施設存在する2)が,専門医がいる施設は小児関連医療施設,クリニックを含めて約800にとどまる3)。Hospitalistの読者のなかにも,感染症専門医がいない施設で働いている方がたくさんおられるだろう。
専門医のいる施設であっても,大部分の感染症は専門医でない医師が診ている。例えば,筆者が勤務する大学病院では,年間約3万人の入院患者の少なくとも半数以上で,静注抗菌薬が使用されているが,感染症内科がかかわるのは約1,300人,つまり数%しかない。ほとんどのケースは非感染症医が診療しており,ホスピタリストの守備範囲を考えたときに,感染症診療が重要であることを改めて納得していただけるのではないだろうか。
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