学会印象記 第23回日本臨床病理学会総会
"癌"の広さ,深さを味わう
影山 信雄
1
1社会保険中京病院検査部
pp.319
発行日 1977年3月15日
Published Date 1977/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542914306
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このシンポジウムの共催者である日本臨床病理同学院という耳新しい団体の性格や活動などがよく分からない私は,"癌の最近の話題"というテーマをウイルス学,生化学,免疫学などの専門分野の諸先生方が,それぞれの立場から述べられるという企画に大きな興味を持って会場に入った.
開演に先立ち,日本臨床病理同学院緒方富雄院長による同学院についての簡単な説明を兼ねたあいさつがあり,赤崎氏の司会で始まった.まず最初に,発癌のメカニズムをウイルス腫瘍学の立場から,石橋氏が述べられた.動物に癌を作るウイルスにはDNA型とRNA型があり,前者にはパポーバウイルス,アデノウイルス,ヘルペスウイルスなどがあり,後者には白血病ウイルス,乳癌ウイルスと日常聞きなれたウイルスが含まれており,身近な感じがした.20年ほど前に白血病のウイルス説を聞き,癌もいよいよ伝染病の一つになったかと単純に驚き,剖検のときにおっかなびっくりしたことを思い出しながら拝聴した.
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