バイタルサイン・8
呼吸[2]—換気量
岡安 大仁
1
1日本大学医学部呼吸器科
pp.1124-1125
発行日 1980年11月1日
Published Date 1980/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919080
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換気量呼吸をしているという観察には,呼吸量すなわち換気量が十分であるかどうかの判断を伴つているはずである.呼吸数を数えることが分時の呼吸量(分時換気量)を評価する重要な指標となることは確かであるが,それで十分な訳では全くない.呼吸数が多くても1回換気量が小さければ(頻小呼吸=浅促呼吸,shallow breathing),当然ながら分時換気量が減少していることもある(図1).
呼吸の観察には,数とともに換気量を見届けなければならない.これを正確に測定するには,スパイロメーターを使わねばならないが,日常の臨床では,呼吸の深さは胸部の動きが小さいか大きいかで知るわけである.また胸部の動きが極めて小さく,腹壁運動が主となつている場合もある.そこで,息苦しさを訴えている患者や呼吸頻数の場合は,特に注意して観察する必要がある.成人の1回換気量は大体500mlであり,これに呼吸数を掛けると分時換気量となり,だいたい8000mlである.
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