連載
え? 知らないの?人工呼吸器のclosed loop control Part 1
開 正宏
1
,
森實 雅司
2
1日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院 臨床工学科
2済生会横浜市東部病院 臨床工学部
pp.620-624
発行日 2022年7月1日
Published Date 2022/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102201007
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近年,オープンシステム(開かれた系)やクローズドシステム(閉じられた系)という言葉を目にすることがある。これは経済やITの業界で多く使われる用語であり,医療業界でも,電子カルテなどがインターネットで外部につながる系をオープンシステム,情報漏洩の危険性から外部ネットワークと連絡しない系がクローズドシステムと呼ばれる。またICUにおいて,集中治療の専門医が指示系統をまとめて管理するか否かによって,クローズドICUやセミクローズドICUとの語もよく耳にする。
医療機器においては技術進歩が目覚ましく,人工膵臓は血糖を自動測定しインスリンとグルコースを自動注入して,クローズドループclosed loop管理下のもとで血糖を一定の目標値に管理する。一部のペースメーカでは心筋のインピーダンスを自動解析して,レート応答型ペーシング機能を有するCLS(closed loop stimulation)も多く用いられている。
closed loop control機構を搭載した人工呼吸器が最近増えつつある。これは人工呼吸器が患者の状態(情報)を自ら取り入れて演算処理し,換気制御を行うものである。より高い同調性や呼吸仕事量の低減,人工呼吸器離脱への導きのみならず,患者の増悪時にも設定を調節することで,医療者の負担を軽減することも期待される1)。
今回のPART 1では,人工呼吸器におけるclosed loop controlの概念を解説し,人工呼吸器メーカーごとにそれぞれ異なるモードを紹介する。また,次回のPART2では各モードについて詳しく解説する予定である。
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