徹底分析シリーズ 麻酔に役立つ血糖のお話
―血糖に影響する外科的手技―人工膵臓のclosed loop systemで周術期の厳密な血糖管理が可能に
北川 博之
1
,
矢田部 智昭
2
,
花﨑 和弘
1
KITAGAWA, Hiroyuki
1
,
YATABE, Tomoaki
2
,
HANAZAKI, Kazuhiro
1
1高知大学医学部 外科学講座外科1
2高知大学医学部 麻酔科蘇生科
pp.1182-1184
発行日 2011年12月1日
Published Date 2011/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101398
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周術期における,高血糖対策は感染性合併症の発生予防に重要である1)。van den Bergheら2)の報告以来,周術期の血糖値を厳密に管理する強化インスリン療法が行われてきたが,インスリン持続投与に伴う低血糖発作の危険性が指摘されている3)。
筆者らは,消化器外科手術のなかでも侵襲の大きい,食道切除,肝切除,膵切除症例に対して,人工膵臓〔STG-22TM(日機装社)〕を使用して周術期の血糖を管理している。STG-22は,患者の血糖値が設定された血糖域を超えるとインスリンを注入し,下回るとグルコースを注入できるため(closed loop system),厳密な強化インスリン療法を安全に施行できる4)。これまで400例以上の症例にSTG-22を使用しているが,40mg/dL未満の低血糖発作は経験していない。
本稿では,これらの経験をもとに,血糖に影響する外科的手技について述べる。
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