特集 集中治療の今と未来
特集にあたって—コロナ禍の今こそ,集中治療の今と未来を語り合おう
片岡 惇
1
Jun KATAOKA
1
1練馬光が丘病院 総合救急診療科 集中治療部門
pp.635-636
発行日 2020年10月1日
Published Date 2020/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200798
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2020年,華々しく東京オリンピックを迎えると思っていたものの(本特集決定時点ではそう思っていた),新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行が世界中の日常を一変させた。集中治療においては,人工呼吸器管理が必要な重症呼吸不全患者が多く発生し,本邦の集中治療体制が国全体で否応なしに見直される機会となっている。自分自身が身の危険を感じるなかで,我々集中治療にかかわる医療者に求められていることは,patient-centeredに自分たちができることを粛々とやっていくことである。
さて,INTENSIVIST誌は「世界標準の集中治療を誰にでもわかりやすく」をコンセプトに2009年1月に創刊された。創刊前の0号*1では,「巻を増やすごとに,それぞれのテーマが網羅されて,それが揃うと1つの集中治療医学のテキストになる」「INTENSIVIST誌が若手医師や医学生が集中治療医をめざすきっかけになってくれれば理想的です」と編集委員の先生方が語っている。創刊から10年が経った今,INTENSIVIST誌が集中治療を学ぶテキストとして,研修医の本棚だけでなく各科の医師の本棚にあるのはどの病院でも見慣れた光景となっているだろう。筆者も含めて,若手集中治療医にとっても,この雑誌が集中治療医をめざしたきっかけの1つになったと言って過言ではない。この10年でこの雑誌とともに,本邦における集中治療の学問としての認知度は上がり,集中治療医の必要性は各科の医師のなかでも認識されてきているのではないだろうか。
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