特集 酸素療法
Part 1 酸素の生理学
1.イントロダクション—酸素の生理学の重要性
大下 慎一郎
1
Shinichiro OHSHIMO
1
1広島大学大学院 医歯薬保健学研究科 医学講座 救急集中治療医学
pp.257-258
発行日 2018年4月1日
Published Date 2018/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200500
- 有料閲覧
- 文献概要
「酸素療法」特集のPart 1では,まず酸素に関する生理学の重要性について解説します。そもそも生物が低酸素状態におかれた場合,生体内ではどのような反応が起こっているのでしょうか。低酸素状態は,各種臓器における炎症を惹起し,サイトカインの発現を増加させ,凝固系を活性化させます。さらに,重症患者では貧血や薬物の影響が合わさって,臓器にさまざまな悪影響を及ぼす可能性もあります。このような低酸素状態における有害性を広田喜一先生に解説していただきます。
続いて,この低酸素状態を回避すべく私たち人類が獲得した呼吸調節のメカニズムについて,田中愛子先生・藤野裕士先生に解説していただきます。どのようにしてヒトは呼吸困難を自覚し,それを調節しているのでしょうか。なぜ心不全や薬物によって呼吸異常が引き起こされ,呼吸調節メカニズムは破綻をきたすのでしょうか。薬物による呼吸抑制は何の障害によるものなのでしょうか。これらの疑問に対して,生理学的知見をふまえて明確な解説をしていただきます。
Copyright © 2018, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.