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本稿では「脳動脈瘤によるくも膜下出血に対してクリッピングもしくはコイリングを施行された患者がICUに入室となった際に,どのように管理を行うか?」をテーマとして,本邦および米国と欧州のガイドライン1〜3)に準拠しながら,実臨床で遭遇するであろうclinical questionを中心に解説していく。
読者のなかには「ICUでくも膜下出血の症例を診ているが,治療方針は脳神経外科が決めているため管理の細かいところには不安がある」と思っている方が少なくないのではないだろうか。本稿では,くも膜下出血subarachnoid hemorrhage(SAH)の周術期管理について理解して主体的にICU管理を行うことができ,適切なタイミングで脳神経外科を含めた他科にコンサルトできる,ということを目標として執筆した。
Main points
●くも膜下出血は全身に影響を及ぼす疾患であり,また全身状態の悪化により頭蓋内の病態も悪化するため,周術期は十分な全身管理が必要である。
●輸液管理はeuvolemiaを維持し,身体所見やin-outバランス,超音波検査などを含めた総合的な評価を行い,hypovolemiaおよび予防的なhypervolemiaは避ける。
●本邦では遅発性脳虚血(DCI)予防に十分なエビデンスのあるnimodipineは承認されておらず,ニカルジピン,ファスジルなどの薬物で代替せざるを得ない現状がある。
●バイタルサインや神経所見,TCD/TC-CFIの評価を繰り返し行い,DCIを疑う所見を逃さないように努める。
●DCIが生じた場合には,意図的に輸液負荷や高血圧管理を行うことで脳灌流を改善させる対応を行いながら,脳神経外科にコンサルトして脳血管攣縮に対する直接的な介入を早期に行う。
Aneurysmal subarachnoid hemorrhage is a neurological syndrome with complex systemic reactions and complications. Since systemic complications can worsen ongoing intracranial pathology, neurocritical care including systemic organ support is essential. Maintaining euvolemia is recommended, avoiding hypovolemia or preventive hypervolemia. Since nimodipine is not available in Japan, continuous nicardipine infusion and intravenous fasudil are alternative drugs of choice for the prevention of delayed cerebral ischemia (DCI). When DCI is diagnosed, induction of hypertension and mild hypervolemia is recommended. The aim of this article is to summarize neurocritical care for patients with subarachnoid hemorrhage due to ruptured aneurysms, especially for patients in poor neurological condition due to early brain injury and DCI.
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