特集 中毒
Part 2 診断と治療のアプローチ
5.中毒に関する法律上の問題
水沼 直樹
1
Naoki MIZUNUMA
1
1鉄蕉会亀田メディカルセンター
pp.627-637
発行日 2017年7月1日
Published Date 2017/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200423
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
中毒患者の治療においては,法律上,医師が届出義務を負うことがある。また,捜査機関より患者情報を提供するよう求められることもある。臨床現場において,いかに立ち回るべきかを十分に考えることができるとは限らない。本稿においては,臨床現場で生じ得る法律上の問題について,法律家の立場から解説する。
Summary
●本邦の薬物規制は,国際条約,国内法,法律に基づく政令・省令など多岐にわたる。また,法律上,薬物中毒者に関する医師の届出義務が定められている場合がある。なかには,罰則を伴う義務も存在する。規制される薬物が拡大することに伴い,届出を要する中毒患者の幅も広がる。法令改正に留意する必要がある。
●届出は,各法律により届出先,届出内容,届出時期などが定められている。なかには罰則や守秘義務解除規定が存在する法律と存在しない法律があり,守秘義務解除規定のない場合における,届出と守秘義務との関係について理解することが必要である。
●公的医療機関と民間医療機関とでは,公務員の告発義務の有無を除いて,医師がすべきことに大きな差異はない。
Copyright © 2017, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.