今月の主題 臨床家のための輸血学
輸血の副作用とその対策
輸血の事故と法律問題
池木 卯典
1
1自治医大法医学医事法学
pp.376-379
発行日 1979年3月10日
Published Date 1979/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402215806
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はじめに
輸血事故を含め,医療事故の実態を正確に把握することは困難とされているが,日本医師会法制委員会の報告によると,1963年に発生した紛争件数は63件であり,1971年には511件に増えている1),こうした医事紛争増加の原因としては,市民の医学知識の向上,衛生思想の普及,権利意識の増強,医師対患者の人間関係の悪化,新薬・新医療法の開発に伴う危険度の増大などが指摘されている2,3,6).輸血についても,血液の需要量からみて輸血医療の増加は推定される.反面,献血制度は輸血や血液型に関する知識を著しく大衆化した.このような相対的な関係も,輸血事故紛争の潜在的要因となっているのかも知れない.ちなみに,1977年における医事紛争件数は952件であり,輸血事故は11件(約11.5%)を占めている1).
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