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さまざまな原因疾患により,胸腔内・腹腔内に液体や空気が貯留する。非生理的でかつ生体に悪影響を及ぼしている場合,あるいは診断のために穿刺排液,排気が行われる。現在ポータブルエコーの性能が向上し,救急外来やベッドサイドで胸腔,腹腔内評価を超音波診断装置で行うことは常識となっている。胸水,腹水は胸腔,腹腔内の無エコー領域として認められ,必要に応じ穿刺,ドレナージが行われる。ただし穿刺に伴い,一定の割合で重篤な合併症も報告されている。胸腔穿刺に関しては,2008年にはNational Patient Safety Agency(NPSA)がより安全な手技のために勧告1)を出しており,そのなかにも超音波診断装置の使用が挙げられている。気胸の場合には,肺エコーでlung slidingの消失,lung point,A-lineの存在*1で診断をつけることができる2)。通常はその後,胸部CT検査で気胸の程度,部位を確認ののち,必要があれば穿刺排気やドレーン留置が行われる。
Summary
●胸腔,腹腔穿刺を超音波ガイド下に行うことで,合併症を減らし,dry tap(検体がとれない)を減らすことができる。
●少量の胸水の場合,また,被包化胸水の場合は,超音波ガイド下穿刺が望ましい。
●胸腔穿刺時には超音波診断で,胸水が10mm以上あり,吸気時にも肺が重ならず,心臓,肝臓,脾臓などの実質臓器を誤穿刺しない部位を選ぶ。
●気胸は,血行動態が安定しているか,両側か,肺の虚脱サイズ,年齢,喫煙歴,呼吸器疾患の有無などによって1回穿刺かドレナージかが選択される。
●胸水,気胸ともに従来よりも細いドレナージチューブが推奨されている。
●ドレーン挿入時に金属針のついた内筒は使わない。
●腹水穿刺時にZ-track techniqueを使用すると,穿刺後腹水漏出を減らすことができる。
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