私の工夫—手術・処置・手順
腹腔穿刺と腹腔ドレナージの工夫
渡部 脩
1
,
岩瀬 博之
1
Hisashi WATANABE
1
1江東病院外科
pp.778-779
発行日 1999年6月20日
Published Date 1999/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407905296
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腹腔穿刺は古くから簡便に行われている検査および処置法である.最近では超音波検査やCT検査で腹水の貯留部位を確認できるので安全に行え,出血や腸管の損傷などの合併症もかなり減少しているようである.しかしわれわれ消化器外科医にとっては,消化器癌の増加に伴って腹水に苦しむ患者に遭遇する機会がふえ,かつその患者は術後のあるいは再発の腹腔内癒着を伴うことが多い,従来より腹腔内穿刺部位としてはfour quad-rant tap, Monro-Richter線の外側1/3,McBurney,下腹部正中線の下1/3などが知られているが,当然これらの部位では困難なこともある.そこでわれわれは次のような方法で腹腔内穿刺とドレナージを行っている.まず超音波ではecho free spaceとして,腹部CTではlow densityarea(図1)1)としての腹水貯留を腹壁と右肝側面との間に確認する.患者を仰臥位とし,右腕を頭側に挙上する.穿刺部位は通常第10肋間,中腋窩線上で行っているが,腹水の貯留量や部位,月刊蔵の腫大,萎縮,形態などにより適宜変えている.穿刺部位が決まったら,皮膚を消毒し,局所麻酔を施し,皮膚に数ミリ切開を加え,外筒チューブを装着した穿刺針でやや頭側に向かって穿刺し,腹水が吸引確認できたら外筒チューブを挿入し,肝側面に沿って横隔膜下面に向かって進める.次いで3方括栓を介して排液バッグに接続する.
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