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本誌を手にした読者のなかで,これまでに何例も心囊穿刺を経験したことのある医師およびコメディカルはどれだけいるだろうか。
筆者は,かつて循環器内科医として約4年間診療に携わっていた。筆者の心囊穿刺の経験数はこれまでに3例しかなく,年に1例あるかないかであった。湘南鎌倉総合病院(以下,当院)において,2015年4月〜2016年3月に施行された心囊穿刺についてまとめた(表1)が,この頻度だと当院循環器内科の若手スタッフが施行するのは年1〜2例といったところであろう。他の施設であっても,同程度かむしろ少ないと推定され,高頻度に行われる手技ではない。
いざ穿刺するとなると,心タンポナーデなどの緊急を要する場合もあり,穿刺方法いかんによっては心臓自体を損傷し致命的になり得ることからも,適切な位置・器材によって施行されるべき手技であり,ベッドサイドで心囊穿刺を行ううえでは,超音波診断装置は必須な器材の1つであろう。
読者のなかには,心囊穿刺を1度も経験したことのない方もいるであろう。むしろそのような方のほうが多いのではないだろうか。本稿では,症例をベースに心囊穿刺をどのように進めていくのか,超音波機器をどのように使っていくかを解説する。
Summary
●心囊ドレナージは,日常的に高頻度に行う手技ではないが,緊急で施行することの多い手技であり,熟練した術者が行うか,シミュレーションなどでの十分なトレーニングをしてから臨みたい。
●超音波診断装置をガイドに心囊ドレナージを行うことは,合併症の回避のためにも有効である。
●プローブを当てる位置によって心囊液の見え方は変化するので,心窩部・傍胸骨・心尖部それぞれの見え方および利点と欠点とを把握して穿刺に臨むのがよい。
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