特集 ICUにおける神経内科
Part 4 神経筋疾患に対するベッドサイド検査
15. 神経筋エコー—検査の実際とエビデンス
塚本 浩
1,2
Hiroshi TSUKAMOTO
1,2
1帝京大学医療技術学部 臨床検査学科
2帝京大学医学部 神経内科
pp.899-909
発行日 2016年10月1日
Published Date 2016/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200331
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
神経・筋疾患の診断・病状評価においては,画像検査と神経生理学的検査が非常に重要な役割を担う。画像検査としてMRI,神経生理学的検査として神経伝導検査,針筋電図などの電気生理学的検査が最も重要であるが,ICU管理となる重症患者は,人工呼吸器の使用や重篤な病状により,検査室までの移動や長時間に及ぶ検査が難しいことが多い。
超音波検査(エコー)はICU患者においては,検査室へ移動しなくともベッドサイドで繰り返し施行できる利点があり,非常に有用な検査ツールである。近年さまざまな神経筋疾患における末梢神経・筋肉のエコー所見が数多く報告され,その有用性が確立されつつある。本稿では,神経筋エコーについて概説したあと,Clinical Questionに回答する形で解説する。
Summary
●神経筋エコーは,ベッドサイドで非侵襲的に神経筋の評価が可能である。
●横隔膜エコーは,横隔膜機能障害を簡便に評価することが可能で,既存の検査を代用できるほどの有用性とエビデンスは確立されていないものの,一部の予後予測に有効な可能性がある。
●筋エコーは,critical illness neuromyopathyにおいて,非特異的所見として筋萎縮と筋輝度の低下を認める。
●多発筋炎・皮膚筋炎を含む筋炎では,筋エコーで筋輝度の上昇と筋萎縮を認める。封入体筋炎,腫瘤型筋サルコイドーシスは特徴的な筋エコー所見を認める。
●筋生検前エコーは,障害筋とその程度を評価でき,血管などの解剖学的情報も併せて得られるため有用である。
Copyright © 2016, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.