特集 ICUにおける神経内科
Part 4 神経筋疾患に対するベッドサイド検査
【コラム】集中治療医が直面する髄液検査のClinical Questions
堤 健
1
,
北野 夕佳
1
Ken TSUTSUMI
1
,
Yuka KITANO
1
1聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 救命救急センター
pp.910-923
発行日 2016年10月1日
Published Date 2016/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200332
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集中治療患者において,中枢神経感染症の診断を筆頭に,腰椎穿刺・髄液検査が適応になる状況は多い。臨床家が遭遇するであろう5つのClinical Questionに関して,詳細な文献的考察を行った。他の文献*1に一般的な記載を見つけられる腰椎穿刺の基本手技・適応,髄液検体の評価などは割愛した。
Summary
●髄液圧の正常値には明確なコンセンサスはないが,髄液圧分布(図1)を把握しておくことで,髄液圧測定値を有用な臨床判断根拠として活用できる。
●髄液圧に影響を及ぼす因子には,体位,body mass index(BMI),鎮静,年齢が挙げられる。
●腰椎穿刺の相対的な禁忌として,呼吸循環が不安定で予備能がない状態,ICP亢進状態,穿刺部位の感染,重度の凝固障害が挙げられる。
●髄液検査の提出順や安全に採取できる髄液量は報告によりさまざまであるが,病態に応じて個々に判断すべきである。
●腰椎穿刺後頭痛の予防に関しては,針を細くする,atraumatic needleを使う,穿刺時にベベルの向きを硬膜線維に対して平行にする,抜針時にスタイレットを再挿入してから抜くなど,確立されつつあるものが多くある。
●エコーガイド下による腰椎穿刺は,ランドマーク法で穿刺困難な患者に対しての有効性が示されている。
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