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極く簡単なことなのですが,脳室ドレナージ(CVD)チューブを留置する際に,これまでは,尖刃メスとモスキート鉗子を使いチューブの皮下通しを行っていました.欠点としては,頭皮を切ってチューブ刺入部で糸固定することと,皮下通しが短いために,チューブ固定が緩いとチューブ周囲から髄液漏れとなり,固定がきついとチューブを閉塞させてしまいました.また皮下通しが短いこともありチューブを介しての感染を心配して早めの抜去,入れ替えを行っていました.またCVDをしている患者の安静を保てず,頭の挙上などでチューブが抜けてしまうこともありました.そこで最近では,比較的長期のCVD留置が予測される例では,皮下通しにZIMMER® SNYDER HEMOVACセットに入っている穿刺針を使っています.端のネジ部にチューブをさして糸固定すれば抜けません.針は13cm程の長さにて十分な距離の皮下通しをすることができます.頭皮刺入部を切らないので,チューブ周囲からの髄液漏れはなく,チユーブ固定をするだけです.針で皮下を通すためにチューブが10余cm間でタイトに固定されており,CVDの管理中に不注意に抜ける心配がありません.長く皮下通しをできるために,感染の危険が減るものと思います.例外的ですが,CVDチューブを入れ替えずに10カ月が経過する症例があります.結核性髄膜炎で水頭症を併発しCVDを留置しました.急性期にはCVDチューブの詰まりもあり,3回の入れ替えを繰り返しました.髄液からの排菌も無くなり,髄液性状も良くなったのですが,結核性肉芽腫がCT scan検査の度に頭蓋底部に広がっていきます.水頭症に対してシャント術を行うわけにゆかず,4度目のCVD留置から10カ月経ちますが,髄液に細菌感染を認めていません.
この貴重な本を完訳された落合亮一先生ほか訳者の皆様に敬意を表します.
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