特集 産科ICU
8.産科周術期出血2—弛緩出血への対応
入駒 慎吾
1
Shingo IRIKOMA
1
1聖隷浜松病院 麻酔科
pp.359-365
発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200275
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我が国の妊産婦死亡の原因の過半数を危機的出血が占めていることからも,産科医療は出血との戦いである。1976年にJ.A. Pritchardが「産科は血まみれの仕事である」と記してから40年となる今日でも,この“戦い”は続いている。しかし,近年さまざまな産科出血の病態が解明され,治療法も生み出されてきた。
本稿では,危機的出血に陥りやすいいくつかの病態およびその対応について解説する。また,産科出血をとらえるうえで重要となる“消費性凝固障害”と“希釈性凝固障害”についても言及する。
Summary
●弛緩出血は産科危機的出血へと進展することもあるにもかかわらず,予測できないことが多い。
●産科DICスコアを用いることで,凝固機能検査の結果を待たずに産科DICを診断でき,早期に治療を開始することができる。
●羊水塞栓症には「心肺虚脱型」と「DIC先行型」の2つのタイプがある。
●消費性凝固障害と希釈性凝固障害の違いを認識した対応が必要であるが,両者はしばしば合併する。
●産後の過多出血が保存的治療でコントロールできない場合は,手術やIVRが選択される。
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