特集 心臓血管外科 後編
後書き:心臓外科医から学んだこと
讃井 將満
1
Masamitsu SANUI
1
1自治医科大学附属さいたま医療センター 麻酔科・集中治療部
pp.219-220
発行日 2016年1月1日
Published Date 2016/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200257
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- 文献概要
かつて手術室で毎日息をするかのごとく成人心臓麻酔を行い,この10年はICUで毎日息をするかのごとく開心術術後ICU患者を診つづけ,多くの方から多くのことを教わった。もちろん,自分の直属の上司である麻酔科の諸先生方から教わったことも多いが,心臓外科医,循環器内科医,臨床工学技士,看護師などの心臓外科周術期チームの各メンバーに教えていただいたことも劣らず多いように思う。
心臓麻酔のトレーニング中には,臨床工学技士から人工心肺をはじめとする各種の循環補助装置の使い方について教えていただいただけでなく,こちらの循環管理の未熟さゆえにハラハラさせたこともあったように思う。もちろん,看護師からも多くを学び,鍛えられた。ICUに入室した腹部大動脈瘤破裂患者の救命を願って,半ば強引に手術室に連れて行こうとしたら,主任看護師に「まだ家族がお会いしてない。一目お会いさせて」と一喝されたり,術後患者をICUに連れていくと「ちょっとマスイカー,ラインの整理なってないし血がついているし,どうにかして」と部屋中に聞こえる声でご指導いただき,一言も言い返せない経験もした*1。循環器内科や心臓外科ばかりでなく,あらゆる科の重症患者が入室する1つの集中治療室があり,そこに手術室や心臓カテーテル検査室が直結し,循環器内科の先生方にも気軽に相談できる環境で育った。心エコー図検査や心臓カテーテル検査などの評価法から重症心不全や不整脈の診療・管理まで,急性期しか知らない麻酔科医や集中治療医には思いもつかない専門家ならではの考え方を惜しみなく教えていただいた。
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