特集 心臓血管外科 後編
術後合併症
4.縦隔出血—診断,治療,再開胸の適応とタイミング
飯田 泰功
1
Yasunori IIDA
1
1済生会横浜市東部病院 心臓血管外科
pp.151-157
発行日 2016年1月1日
Published Date 2016/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200248
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心臓血管外科手術は,他分野の手術と比して出血量が多くなりやすい。その最大の原因は,ヘパリン投与による人工心肺cardiopulmonary bypass(CPB)の使用である。心臓血管外科手術成績は,黎明期から現在に至るまで著しい進歩を遂げたが,縦隔出血はいつの時代においても深刻かつ致命的な合併症であり,ひとたび再開胸のタイミングを逸した場合,患者にとって不可逆的ダメージとなる。本稿では,縦隔出血の頻度,出血を生じやすいタイミング,危険因子,診断,治療について,再開胸の適応とタイミングを含めて解説する。
Summary
●縦隔出血は一般的に数時間で減少するが,約1〜3%の患者では再開胸が必要となる。
●縦隔出血を生じやすいタイミング,危険因子を理解し,適切に評価,診断を行い,すみやかに治療方針を決定する。
●各施設で集中治療医,心臓血管外科医などのスタッフ間で,縦隔出血を生じた場合の対応についてあらかじめ話し合い,的確かつ迅速に対応できるようにしておく。
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