特集 心臓血管外科 後編
心臓血管外科における周術期管理
6.慢性透析患者の周術期管理—透析患者の特殊性と周術期に注意すべきポイント
松尾 耕一
1
Koichi MATSUO
1
1新東京病院集中治療部
pp.61-66
発行日 2016年1月1日
Published Date 2016/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200241
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我が国は世界的にみても透析療法の先進国であり,年々透析患者が増え,また高齢化している。それに応ずるように心臓血管外科手術を受ける透析患者も増加傾向にあるが,透析患者は一般の患者と比較し,腎臓以外にもさまざまな身体的,社会的問題を抱えている。
本稿では,慢性透析患者の周術期管理について述べるが,透析患者の特殊性から世界標準といえる確立した術後管理についてはいまだ存在しないのが現状である。
Summary
●心臓血管外科手術を受ける慢性透析患者は増加している。
●慢性透析患者は心血管疾患を合併していることが多く,頭頸部をはじめとした全身の血管評価を行う必要がある。
●慢性透析患者の心臓血管外科手術後の死亡率は非透析患者と比較すると高く,また周術期に感染症や脳血管障害を合併することも多い。
●術後の透析では低心拍出量症候群に陥らないよう緩徐な除水を心がけ,ドライウェイトを早期に達成することにこだわらない。
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