特集 心臓血管外科 後編
心臓血管外科における周術期管理
3.ペーシング—心外膜ペーシングの使用・管理法と注意点
河野 裕志
1
,
田端 実
1
Yuji KAWANO
1
,
Minoru TABATA
1
1東京ベイ・浦安市川医療センター 心臓血管外科
pp.33-40
発行日 2016年1月1日
Published Date 2016/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200238
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心臓血管外科手術の多くは,体外循環・心停止,低体温といった非生理的な環境を必要とし,生体への侵襲が大きい。また,心内操作を必要とするため,手術操作によって解剖学的電気伝導路を“物理的に”障害する場合もある。さらに,術中術後を通して心筋浮腫,血圧変化,電解質異常,内因性/外因性カテコールアミン変動,低体温,再灌流障害といった複合的要因が重なり,術後不整脈postoperative arrhythmia(POA)が生じる。心外膜ペーシングの主な目的は,POAに対するバックアップである。術後に生じ得る不整脈は多岐にわたるが,特に徐脈性不整脈(房室ブロック,洞不全症候群,洞性徐脈など)に対して心外膜ペーシングが有効である。
本稿は,心臓血管外科領域で使用する心外膜ペーシングについて,その留置・抜去方法や管理上の注意点,ペーシングモードの選択からトラブルシューティングに至るまでの包括的な理解を目的としている。
Summary
●心臓血管外科手術で使用する心外膜ペーシングには,特有の合併症や管理上の注意点がある。
●心外膜ペーシングは一時的な使用を前提としているため,ペーシング/センシング不全が生じる可能性を常に念頭において管理する。
●標準的な留置部位は右室前壁だが,心房や左室へ留置することで心拍出量が増加する可能性がある。
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