特集 心臓血管外科 前編
心臓血管外科の基本
1.体外循環,心筋保護,低体温循環停止と脳保護
中塚 大介
1
,
田端 実
1
Daisuke NAKATSUKA
1
,
Minoru TABATA
1
1東京ベイ・浦安市川医療センター 心臓血管外科
pp.687-700
発行日 2015年10月1日
Published Date 2015/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200208
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現在につながる高度な心臓手術は,1952年のMinnesota大学での,中等度低体温法を用いた5歳の女児に対する直視下での心房中隔欠損閉鎖術の成功から始まった。その後,技術の驚異的な進歩により,あらゆる年齢層の患者に良好な成績で心臓手術が行われるようになった。この進歩の最大の鍵は,人工心肺による体外循環法が確立されたことである。体外循環により確実な全身灌流を得て,必要に応じて心拍動を停止させ,外科医はさまざまな手術を急がず安全に遂行できるようになった。本稿では,心臓大血管手術の基本である,体外循環,心筋保護,脳保護を含めた低体温循環停止について,それぞれの基本的な概念と実際の手技,生理学を基本とした術後の生体への影響について述べる。
Summary
●体外循環や心筋保護によって心停止下に無血視野を得ることができ,安全で確実な開心術を行うことができる。
●体外循環によって生体内で内分泌・免疫・凝固系の変化が生じる。
●心筋保護液にはいくつかの種類と投与方法がある。
●低体温と脳灌流によって臓器が保護され,循環停止下で確実で安全な手術が可能になる。
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