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特集 低体温法
〔9〕体外循環による低体温麻酔の脳外科への応用について
NEUROSURGICAL APPLICATION OF HYPOTHRMIA
山本 勝美
1
,
牧野 博安
1
,
矢沢 知海
1
,
田宮 達雄
1
,
山野 徳雄
1
,
牧 豊
2
K. Yamamoto
1
,
H. Makino
1
,
T. Yazawa
1
,
T. Tamiya
1
,
T. Yamano
1
,
Y. Maki
2
1千葉大学医学部中山外科
2千葉大学医学部神経科
1Dept. of Surgery, Chiba Univ School of Medicine
2Dept. of Psychiatry, Chiba Univ.
pp.1121-1123
発行日 1962年12月1日
Published Date 1962/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201383
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低体温法は,28℃前後までの低温ならば安全に施行でき,さらに脳外科に対し,有利なことが確認され,広くこの領域に施行されてきている。現在まで低体温にする方法は,いろいろと考案され,施行されているが脳外科領域においては,主としてもつとも簡単な体表冷却法が用いられている。この冷却は簡単ではあるが冷却に長時間を要し,体温調節が困難であり,また冷却後体位変換を要するなどの欠点をもつている。これらの欠点を克服すべく検討した結果,従来の非開胸手術に対して,非適応とみなされていた静脈冷却法が優秀であることが判り,第8回麻酔学会総会において発表した。今回はまず臨床応用に際し重要な基礎的事項を述べ,さらに実施法および成績につき報告する。
本冷却法に使用する装置は第1図に示したごとくで全容量は約350ccであり,冷却器はわれわれの考案したステインレス・スチール管を8本並列に連結したもので容量は約200ccであつて分解組みたてが容易で洗浄は簡単であり,反復使用が可能である(第2図)。本法施行時の生体各部の温度変化をみると,食道温の低下がもつともいちじるしく,これは心臓がもつとも冷却されることを示し,肝温,直腸温,脳温と冷却速度がおそくなつており,特に直腸温と脳温は,僅少の温度差をもつて低下している。冷却中止後は,体温の平均化により,これらの中間で体温の安定が認められる(第3図)。
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