特集 心臓血管外科 前編
心臓血管外科の基本
2.胸骨正中切開とMICSアプローチ
星野 理
1
,
田端 実
2
Satoshi HOSHINO
1
,
Minoru TABATA
2
1松本協立病院 心臓血管外科
2東京ベイ・浦安市川医療センター 心臓血管外科
pp.701-706
発行日 2015年10月1日
Published Date 2015/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200209
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胸骨正中切開は,心臓・胸部大動脈手術の標準的アプローチであり,現在でも大半の症例で用いられている。しかし近年は,胸骨を温存する低侵襲心臓手術minimally invasive cardiac surgery(MICS)アプローチが増加しており,我が国の僧帽弁手術では約12%の症例で右開胸アプローチが使用されている1)。本稿では,標準的アプローチである胸骨正中切開の方法と,術後の身体機能への影響などを解説する。また,MICSアプローチの方法や利点・欠点などについても解説する。
Summary
●胸骨正中切開は心臓外科領域で古くから用いられており,心臓や上行・弓部大動脈への良好なアクセスが得られる最も標準的なアプローチである。
●胸骨正中切開の欠点として,胸骨を離断することによる骨髄からの出血や胸骨骨髄炎のリスク,呼吸機能への影響が挙げられる。さらに,胸骨の癒合には3か月程度を要し,術後の呼吸・運動リハビリテーションが重要となる。
●近年,右小開胸や胸骨部分切開などの,胸骨を温存するMICSアプローチが増加してきている。
●MICSアプローチは,胸骨のすべてあるいは一部を温存することができ,胸骨切開のデメリットを軽減することができる。
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