特集 内分泌・代謝・電解質
1.代謝性アシドーシス—原因の診断と治療
藤井 智子
1,2
Tomoko FUJII
1,2
1東京慈恵会医科大学 麻酔科 集中治療部
2京都大学大学院医学研究科 健康要因学講座 疫学・予防医療学分野
pp.445-456
発行日 2015年7月1日
Published Date 2015/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200181
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Q 代謝性アシドーシスの原因診断
アシドーシスとは,体内にpHを下げる異常なプロセス,すなわち,[H+]を増やす異常なプロセスがある状態をいう。1900年代に,HendersonとHasselbalchが,pHは重炭酸緩衝系によって規定されることを以下の式1に表した1,2)。
Henderson-Hasselbalch(HH)の式
pH=pK+log10([HCO3-]/[0.03×PaCO2]) 式1
Summary
●代謝性アシドーシスの診断は,測定した強イオン(Na+,Cl-)の効果,弱酸(アルブミン,P)の効果と,測定できていないイオンの効果を計算する(AGCまたはSIG)ことで,より正確に診断することができる。
●敗血症でみられる乳酸アシドーシスの原因はよくわかっていないが,必ずしも低酸素や酸素需給バランスの不均衡を表しているわけではない
●代謝性アシドーシスが循環やカテコ-ルアミンに与える影響は動物実験で検証されているが,定まった見解は得られていない。
●乳酸アシドーシス・ケトアシドーシスに対する炭酸水素ナトリウム投与は,pHの程度にかかわらず,循環やアシドーシスを改善せず,投与の妥当性は示されていない。
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