特集 ICUで遭遇する血液疾患
Part 2 血液内科のクリティカルシンドローム
3.血液疾患およびその治療に伴う重症合併症
【コラム】特発性好酸球増加症候群
定 明子
1
,
松井 利充
2
Akiko SADA
1
,
Toshimitsu MATSUI
2
1神戸大学大学院医学研究科内科学講座 血液内科学分野
2西脇市立西脇病院 血液内科
pp.334-342
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200165
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特発性好酸球増加症候群idiopathic hypereosinophilic syndrome(idiopathic HES:以下HES)とは,原因不明の持続性の末梢血好酸球増加症と好酸球臓器浸潤を特徴とする疾患の総称である。HESの一部には腫瘍性好酸球増加症が存在するが,そのほかにも好酸球増加症は感染症やアレルギー性疾患など多様な疾患に合併し,診断が難しい症例が多数存在する。本稿では,まずHESに混在する腫瘍性好酸球増加症をどのように診断・治療するかを述べる。さらに,複数の報告例を参考に,好酸球増加による合併症をきたしたさまざまなHESに対する治療法を概説する。
Summary
●原因不明の持続性好酸球増加症のうち,好酸球増加による臓器障害を伴う疾患を好酸球増加症候群(HES)と総称する。
●HESの概念(診断基準)は時代とともに変化し,現在では骨髄原発性以外に反応性機序(サイトカイン依存性)による好酸球増加症も含めている。
●近年,HESのなかで腫瘍性好酸球増加症の原因遺伝子が次々と同定された。そのうち重要な知見は造血器悪性腫瘍のWHO分類改訂版に取り込まれるため,最新のWHO分類診断基準に従って分子異常を検出する。
●HESの合併症のうち心血管系臓器障害は特に重篤化をきたしやすい。HESの治療に加えおのおのの合併症への対処が必要になる。
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