疾患と検査値の推移
特発性好酸球増加症候群
嶋田 高広
1
,
松村 到
1
1近畿大学医学部血液内科
pp.593-598
発行日 2011年8月1日
Published Date 2011/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103215
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はじめに
好酸球は,抗原抗体反応が起こっている部位に遊走し,好塩基球,組織肥満細胞からヒスタミンを放出させ,アレルギー反応に関与する.また,細胞内に好酸性顆粒を有し,顆粒内の好酸球性ペルオキシダーゼ,塩基性蛋白などを活性酸素と同時に放出し,寄生虫を殺す作用も有している.
好酸球増加症は二次性,腫瘍性(好酸球自体がクローナルという意味での),特発性の三つに大別される.このうち,アレルギー,寄生虫感染などを基礎疾患とする二次性のものが最も多い.従来,原因不明の好酸球増加症を特発性好酸球増加症候群(hypereosinophilic syndrome,HES)としてきた.しかし,その後,一部はTリンパ球の異常によって発症すること,また,一部は染色体異常を有する腫瘍性の好酸球増加症であることが示され,好酸球増加の原因が明らかとされた.このため,特発性HESという用語が意味する疾患群は,時代とともに変遷しつつある.本稿では,この概念の変化と,2008年版のWHO分類での取り扱いについて概説するとともに,その病態や検査値異常について解説したい.
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