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本稿では血液腫瘍に対する化学療法に起因する,重篤かつ重要な有害事象〔発熱性好中球減少症febrile neutropenia(FN)と感染症,infusion reactionとアレルギー反応・アナフィラキシー,急性肺障害,B型肝炎ウイルスhepatitis B virus(HBV)再活性化,肝中心静脈閉塞症veno-occlusive disease(VOD)〕の概要,早期診断,治療について述べる。なお,腫瘍崩壊症候群については別稿に譲る。顆粒球コロニー刺激因子granulocyte-colony stimulating factor(G-CSF)使用に関する米国臨床腫瘍学会American Society of Clinical Oncology(ASCO)のガイドラインについても言及する。
Summary
●化学療法に伴う発熱性好中球減少症(FN)や感染症は,対応が遅れると重篤となる可能性があり,経験的抗菌薬投与を含む迅速な対応が必要となる。
●infusion reactionとアレルギー反応・アナフィラキシーは被疑薬のすみやかな中断あるいは中止が必要となり,重症例では全身管理が必要となることがある。
●抗がん剤による急性肺障害は,発症するとしばしば重症化し,被疑薬の中止以外に副腎皮質ステロイドの全身投与が必要となったり,ICUでの全身管理が必要となることがあるため,早期診断が重要である。
●化学療法に伴いHBVの再活性化を認める場合があり,対応が遅れると劇症化の可能性が高く,ガイドラインに沿った注意深いフォローアップと核酸アナログの開始が必須である。
●VODは,造血幹細胞移植時のみならず化学療法時にも認められることがあり,重症化した場合は,しばしばICUでの全身管理が必要となる。
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