特集 分娩時の出血
輸血の作用・副作用
村上 省三
1
1東京女子医科大学
pp.28-31
発行日 1972年5月1日
Published Date 1972/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204365
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輸血ということについて
—免疫—
輸血とは甲の人の体の中にあった血液をただ乙の人にうつすだけであって,そのうえ血液自体が生理的に体内にもともと存在するものであるから,無害であって,それほど心をなやますほどのものではない。ABO式血液型さえ適合のものを使えば副作用などが起こり得るはずがないとお考えの方があるいはあるかも知れません。
事実われわれ日本入は血液型の分布の点で非常にめぐまれた人種で,欧米にくらべますと,輸血による事故がおこりにくい特長をもっておりますので,われわれ医者仲間でも輸血を軽視する傾向は伝統的にあります。わたしなど輸血を専門にしているものなどは"よっぽどものずきな変り者"と考えられております。まあ物ずきであることは認めますが,輸血というものはそんなになまやさしいものではないことはまずはじめに申し上げておかなければと思っております。
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