特集 ICUで遭遇する血液疾患
Part 1 ICUでのコモンプロブレムの鑑別診断と対処
2.輸血管理
2-4.凝固因子補充療法—その有用性と注意点
近藤 豊
1
,
真弓 俊彦
2
Yutaka KONDO
1
,
Toshihiko MAYUMI
2
1琉球大学大学院医学研究科 救急医学講座
2産業医科大学 救急医学講座
pp.293-301
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200161
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ICUは一般病棟に比べ,播種性血管内凝固症候群disseminated intravascular coagulation(DIC)などの凝固異常をきたしている重症患者が多い。一方で,多くの外科的処置が必要とされ,出血の合併症は非常に多い。また,手術後や多発外傷の患者では,止血できるか否かが救命を左右することも少なくない。このようにICUにおいて止血に関する治療は非常に重要であり,その治療の選択肢を我々は熟知しておかなければならない。本稿では,止血目的に用いる凝固因子補充療法について,最新の知見を加えて述べる。
Summary
●活性型第Ⅶ因子製剤投与は,死亡率を改善させる明らかなエビデンスはなく,また,血栓症のリスクを増やすため,適応は緊急時などに限定される。
●ワルファリン服用患者の出血性合併症に対する,プロトロンビン複合体製剤投与は有効である。
●クリオプレシピテートは,低フィブリノゲン血症を伴う凝固障害に対して有効である可能性があるが,感染症などに留意しなければならない。
●希釈性凝固障害に対するFFP投与は推奨されているものの,そのエビデンスは乏しい。
●外傷患者に対する輸血投与比率をRBC:FFP=1:1に設定するのが現時点でのコンセンサスであるが,今後のさらなる研究結果が期待される。
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