特集 どうする? PCAS
⓬ FLIGHT—PCASの未来
井上 明彦
1
Akihiko INOUE
1
1兵庫県災害医療センター 救急部
pp.647-649
発行日 2024年10月1日
Published Date 2024/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102201231
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はじめに
みなさん,「どうする? PCAS」特集はいかがだっただろうか?
この心停止後症候群post-cardiac arrest syndrome(PCAS)は,10年前の2014年にも「PCAS」特集として取り上げている。2014年といえば,本特集で何度も登場した体温管理療法で有名な無作為化比較試験(RCT)である,TTM trial1)が発表された翌年である*1。PCASに対して低体温療法が行われてきたなかで,低体温療法(33℃)と平温療法(36℃)に差がなかったという結果がもたらしたインパクトは大きく,どう解釈すべきか,議論が多かったことと思う。
前回から10年という年月が経った今回,「どうする? PCAS」特集として,最新のPCASの病態生理や基礎研究,心停止患者の治療,そして蘇生後集中治療管理といった重要ポイントについてまとめた。新たな見解が出たり,新たな臨床研究が行われたことがわかる。いずれもわかりやすく,集中治療医にとっては必要な知識だろう。議論の分かれるテーマに対しては,それぞれの考えを示していただいた。自施設でPCAS管理のプロトコルを考える時に参考になると思われ,もしすでにプロトコルがあったとしても,本特集によりさまざまな背景・考えがわかったのではないだろうか。筆者も体温管理について執筆した*2が,他施設の考えがわかって勉強になった。筆者の原稿に対するreviewer*3の指摘もするどかった(笑)。
さて,それでもまだ,PCAS管理についてすっきりしない読者がいるかもしれない。
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