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敗血症患者における感染源同定の遅れは,独立して生命予後を悪化させる可能性が指摘されている。そのため,Surviving Sepsis Campaign Guidelines 2012では,受診後12時間以内に感染源をコントロールすることが推奨されるに至った*1。その一方で,感染源の検索のためには,造影CTを要す場面も多く経験され,合併症として造影剤腎症contrast-induced nephropathy(CIN)をきたすリスクが生じる。特に,敗血症患者では急性腎傷害acute kidney injury(AKI)を合併している頻度が高く,CINの高リスク群となることも問題となる。実際の臨床の場面で,このような患者の感染源検索を行う際には,超音波検査やMRI(時間的な制約や施設におけるハード面の整備の問題もあり,現実的に施行が困難な場合も多いが)などの,腎臓にとって非侵襲的な画像検査を考慮する。しかし,それらの検査を行っても感染源の同定に至らない場合も多く経験され,結果として,多くの臨床医は,限られた時間のなかで,造影CTを行うか否かについての決断に頭を悩ませることになる。
本稿では,上記のような状況で造影CTを行うことの危険性と利益を整理し,実際のプラクティスにどう活かすかについて考察する。
Summary
●敗血症患者におけるコントロールされない感染源の存在は,予後にも影響する可能性があるので,すみやかに同定すべきであるが,そのために造影CTを施行してもよいかどうかは,危険性と利益を評価したうえで判断する。
●造影CTに伴う重要な合併症の1つとして造影剤腎症(CIN)が挙げられ,その危険因子は腎不全,敗血症,高齢,低心機能などである。
●CINの予防として,輸液療法と薬物療法が挙げられるが,造影に際しては,できるだけ造影剤の使用量を抑えることも重要である。
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