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感染症治療において抗菌薬療法が主体的な役割を果たすことはいうまでもないが,抗菌薬単独では制御困難な病態も多い。これは血流が十分でない臓器・組織や閉鎖腔,デバイス,バイオフィルムには抗菌薬の効果は十分に期待できない1,2)ことや,敗血症のように急速に進展する病態では,病原体,あるいは過剰な免疫応答を惹起することで病態を促進させるPAMPs(pathogen-associated molecular patterns)などの物質のすみやかな除去が要求される3)ためである。このような状況では,抗菌薬療法に加えて感染源コントロールの実施が考慮される。
感染源コントロールとは感染源を物理的に除去・修復することを指すが,前述のように抗菌薬療法単独では治療効果が期待しがたい状況下で特に有用な手段である。感染源コントロールと抗菌薬療法は相補的かつ相加的な関係にあり,感染症に対する原因治療の両輪といえる。
敗血症診療においては,まずすみやかに感染源の検索を行い,感染源コントロールが有効であると判断されれば,迅速にこれを実施することが求められる。感染源コントロールの手法としては,①膿瘍などの感染性液体貯留のドレナージ,②感染を伴う組織のデブリドマン,③感染源たるデバイスの除去,④持続的な汚染原因の除去・修復が挙げられる(表1)4)。
Summary
感染源コントロールは:
●感染症に対する原因治療の一翼を担う重要な手段であり,行わなければ予後の改善が期待できない病態がある。
●感染性膵壊死を除き,原則としてすみやかに行うべきであるが,単一の時限を設定することは困難である。
●患者の状況,病態などに応じて可能なかぎり低侵襲かつ最大限の効果が期待できる手法を選択する。
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