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ICUにおける心拍監視モニタは,重症患者の急変を迅速に的確に知らせてくれる。鎮静スケールを最初に開発したRamsay1)は,従来の心拍,呼吸,体温,血圧に加えて,鎮静薬または麻薬を持続投与されている患者では,疼痛スケールを「第5のバイタルサイン(5th vital sign)」,鎮静スケールを「第6のバイタルサイン(6th vital sign)」と提唱した。しかしながら,他のバイタルサインのように「痛み」と「不穏」を連続的にモニタする装置は今のところない。また,「痛み」と「不穏」の程度の評価は,患者自身または医療スタッフ(特に看護師)の主観的評価スケールに頼らざるを得ない。では,その主観的評価スケールは,いったいどのような検証(検定)を経て市販のモニタなみの価値を確立しているのだろうか。
本稿では,「痛み」,「不穏」,「せん妄」の評価スケールがどのような患者を対象に,どのような検定を経て確立され,普及するに至っているか,米国集中治療医学会のClinical practice guidelines for the management of pain, agitation, and delirium in adult patients in the intensive care unit(PAD管理ガイドライン)2)で推奨されている各種の評価法の内容や前提となる背景の紹介,根拠の吟味,現場で利用する際の問題点やコツを述べる。なお,各項目2つずつのスケール(ツール)が選ばれた詳細については,ガイドラインを参照されたい。
Summary
●ICU患者の痛み・不穏・せん妄の評価には,信頼性と妥当性の検証された主観的評価スケール(ツール)を用いるべきである。
●米国集中治療医学会のPAD管理ガイドラインでは,3つの項目ごとに2つずつ評価スケール(ツール)を推奨している。
●痛みの評価には,Behavioral Pain Scale(BPS)またはCritical-Care Pain Observation Tool(CPOT)を用いるとよい。
●不穏または鎮静レベルの評価には,Sedation-Agitation Scale(SAS)またはRichmond Agitation-Sedation Scale(RASS)を用いるとよい。
●せん妄の評価には,Confusion Assessment Method for the Intensive Care Unit(CAM-ICU)またはIntensive Care Delirium Screening Checklist(ICDSC)を用いるとよい。
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