特集 急性呼吸不全
第2章 呼吸器疾患各論
【コラム】特発性肺線維症の急性増悪に対するPMX-DHP療法―有用性,安全性,そして今後の展望
橘 和延
1,2
,
井上 康
1
,
井上 義一
1,2
Kazunobu TACHIBANA
1,2
,
Yasushi INOUE
1
,
Yoshikazu INOUE
1,2
1国立病院機構近畿中央胸部疾患センター 呼吸器内科
2国立病院機構近畿中央胸部疾患センター 呼吸不全・難治性肺疾患研究部
pp.815-820
発行日 2013年10月1日
Published Date 2013/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100591
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特発性肺線維症idiopathic pulmonary fibrosis(IPF)は,慢性かつ進行性の経過をたどり,診断時から3~5年で死に至る極めて予後不良な病態である1,2)。IPFをはじめとする間質性肺炎はしばしば急性増悪を引き起こし,その際の救命率は20%程度とされる3~6)。これまでステロイドパルス療法,免疫抑制剤,好中球エラスターゼ阻害薬等が用いられてきたが,有効な治療法は確立されていない。
Summary
●特発性肺線維症(IPF)は,慢性かつ進行性の経過をたどり,しばしば急性増悪を引き起こす予後不良の疾患である。
●PMX-DHP療法は当初,敗血症に対する治療として開発され,ここ数年IPFの急性増悪に対しても使用されている。
●IPFの急性増悪に対するPMX-DHP療法の国内多施設後方視的解析では,短期の酸素化の改善など一定の効果がみられ,IPFの急性増悪の治療法の1つとして期待される。
●中長期の予後改善につなげるためには,抗線維化薬や免疫を修飾する薬物などの治療法との組み合わせが必要かもしれない。
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