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びまん性肺疾患は,呼吸器科医からも嫌われている分野である。間質性肺炎の分類などはアルファベッドパズルといわれるように複雑で,しかも実用的ではないと考えている医師もいる。急性期の間質性肺炎はステロイドパルス療法を行えばよいので,あえて細かな鑑別をする必要がない,という乱暴な意見もある。一方で救急領域や集中治療領域では,ARDSに対してステロイドのエビデンスがない今,ステロイドや免疫抑制剤を積極的に使用すべきびまん性肺疾患とARDSをしっかり鑑別する必要があると考える。すなわち,急性呼吸不全を呈するびまん性肺疾患は,図1に示すように数多くの疾患が挙げられる。このなかから感染症や心不全以外で,頻度の高い疾患や知っておくと役に立つ疾患をいくつか取り上げて,どのような場合にそれぞれの疾患を疑うかを示したい。
治療についてはエビデンスのない領域なので,既報告や学会刊行の治療の手引きに加えて,筆者の経験を中心に概説する。
Summary
●若年者の急性発症のびまん性肺疾患をみたら急性好酸球性肺炎を第一に疑う。最近の喫煙習慣の変化,あるいは何か吸入したかの病歴が大事である。
●過敏性肺炎を疑った場合には,季節性,住居関係,トリの飼育やトリ関係の持ち物,水まわりの病歴が大事である。
●薬物服用中(特に抗癌剤,抗リウマチ薬,抗菌薬,漢方薬など)の患者に,びまん性肺疾患が発症したら,薬剤性肺炎を鑑別の上位におく。
●急性経過でその予後不良な病態から鑑別が必要な疾患として,特徴的な皮疹を呈して筋炎所見の軽微な病型clinically amyopathic dermatomyositis(C-ADM)に合併する間質性肺炎が挙がる。
●急性間質性肺炎acute interstitial pneumonia(AIP)は,原因不明の急性呼吸不全を呈し病理組織学的にびまん性肺胞傷害diffuse alveolar damage(DAD)を呈する間質性肺炎である。臨床的に急性経過の間質性肺炎に対しての用語ではない。
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