特集 急性呼吸不全
第2章 呼吸器疾患各論
【コラム】気管支喘息重積発作およびCOPD急性増悪に対するステロイド―エビデンスから考えるその適正量と減量法
瀬尾 龍太郎
1
Ryutaro SEO
1
1神戸市立医療センター中央市民病院 集中治療部
pp.770-777
発行日 2013年10月1日
Published Date 2013/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100586
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
慢性閉塞性肺疾患(COPD)急性増悪と気管支喘息発作は,両疾患ともに炎症による気管支の狭小化に伴う気流制限が病態の根幹であり,急性期にはそれぞれ同様の治療が行われる。しかし,重症化した場合の管理に関する良質なエビデンスは少なく,標準的治療が確立されているとは言い難い状況である。
ステロイド投与に関しても種々のガイドライン1~5)で推奨されており,多くの施設で行われていると考えられるが,人工呼吸器管理を要する患者に対する無作為化比較試験(RCT)も少なく有効性はいまだ不明である。また,投与する際も投与量や中止の方法などに関して統一した見解がないのが現状である。
本コラムでは,いままでの人工呼吸器管理を要しない患者に対する報告も含めて概説し,人工呼吸器管理を要するCOPD急性増悪,気管支喘息重積発作に対するステロイドの至適使用方法について考察する。
Summary
●人工呼吸器管理を必要としないCOPD急性増悪の研究結果も考慮すると,呼吸状態の改善を目的としてステロイド投与を行ってもよいと考えられる。
●入院を要する気管支喘息発作の研究結果や気管支喘息発作の病態生理を考慮すると,呼吸状態の改善を目的としたステロイド投与は妥当である。
●合併症の危険性が高い患者では,ステロイド使用のデメリットとメリットについて考察し,投与方法の見直しもしくは投与の中止を検討する必要がある。
Copyright © 2013, "MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD." All rights reserved.