連載 忘れられない症例から学ぶ超音波検査・11
心サルコイドーシス(sarcoid cardiomyopathy)
飯伏 義弘
1
1広島市立病院機構広島市立広島市民病院 臨床検査部
pp.612-619
発行日 2016年7月1日
Published Date 2016/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543206488
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はじめに
サルコイドーシスは原因不明の全身性肉芽腫性疾患で,その病理像は類上皮細胞肉芽腫を特徴とします.若年(20〜30代)と中年(40〜50代)に好発し,肺,眼,皮膚の罹患が多いですが,神経,心臓,筋,腎,骨,消化管などの多くの臓器に罹患する可能性があります.診断に際しての基本は,病理学的に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を確認することですが,浸潤性疾患のなかでも局在性の高い疾患で,皮膚病変以外での病理診断の確定診断率の低い疾患です.心内膜生検の診断率は19%程度とされているため1),画像診断が診断の大きな役割を担います.
心サルコイドーシスは,サルコイドーシスのなかでも,生命の危機となる重篤な不整脈から診断に至る場合が多く,診断に至れば厳重な管理が必要となる疾患です.全身性サルコイドーシスのなかで,心サルコイドーシスの合併率は5〜10%程度とされていますが,病理解剖からの検討では,小さなものも含めると,全身性サルコイドーシスの約70%に心病変を認めるとも報告されています2).このように,全身性の浸潤疾患の一部である心サルコイドーシスの確定診断は困難な場合があります.心臓超音波検査でのカットオフに至らなくても,心サルコイドーシスの早期所見である可能性はあり,その他の画像診断と合わせて確実に診断し,治療に生かすことが重要です.
今回は,心サルコイドーシスの診断において,その他の画像診断が重要であった症例を経験したので,振り返ってみたいと思います.
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