連載 教訓的症例から学ぶ産婦人科診療のピットフォール・13
くも膜下出血合併妊娠の1例
津田 弘之
1
1中部労災病院産婦人科
pp.1111-1114
発行日 2006年8月10日
Published Date 2006/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100777
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症 例
患 者 : 26歳,1経妊・1経産.職業 ; 主婦
主 訴 : 頭痛
現病歴 : 他院にて妊娠フォロー中であった.受診時は妊娠13週で,それまでの妊娠経過に特記すべき異常はなかった.悪阻症状がときどきあり,トイレで嘔吐しそうになってうつむいたときに突然の頭痛が出現した.痛みがおさまらないため救急外来を受診した.
なお,痛みは今までに経験のないもので,殴られたときのようであったとのことであった.めまいや前兆症状などはなかった.
既往歴・家族歴 : 特記すべきものなし.
現 症 : 意識レベル正常,血圧120/80mmHg,脈拍72/分,呼吸数16/分,体温36.8℃,SpO2 100%であった.瞳孔に左右差はなく正常で,項部硬直なし.そのほか脳神経学的所見に異常はなし.四肢の運動・知覚などの異常所見もなし.エコー上,大横径(biparietal diameter : BPD)は 26mmで,妊娠13週4日相当であった.胎児心拍も認められ,異常所見は認めなかった.血液検査データは,WBC 8,000/μml,CRP 0.1mg/dlと炎症反応を認めず,そのほかのデータもすべて正常範囲内であった.
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