Bedside Teaching
Postpartal Cardiomyopathy
関口 守衛
1
Morie Sekiguchi
1
1東京女子医科大学日本心臓血圧研究所内科
1Heart Institute Japan, Tokyo Women's Medical College
pp.459-466
発行日 1973年5月15日
Published Date 1973/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202493
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元来健康であったと思われる妊産婦に妊娠後半期から分娩後にかけて原因不明の心不全,その他の心疾状がみられる病態はpostpartal cardiomyopathy, peripartum cardiomyopathy (分娩後心筋症,産褥性心筋症)の名称で呼ばれ1)2),古くから注目されているが3)〜19),すでに1870年Virchowによって記載されているという4)。本症についてのまとまった概念の設定は,1937年Hull and Hafkesbringによってtoxic postpartal heart diseaseとして27例の検討によって紹介されている5)。
本症が真に存在するのか否かは報告例の全部がはっきりした疾患の定義をしていない点で論議があり,確立した疾患概念とは言い切れないものを有していた。本疾患のあいまいな定義からすれば,本症には原発性心筋疾患が潜在的に存在し,これが妊娠→分娩を契機として心疾患として症状が発現したものではないかとする見解9)11)あるいは妊娠,分娩に関係のある妊娠中毒症,遷延分娩,ショックや出血,や薬物の影響23)を考えるなど今日まで多くの研究者から提起されている。
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