特集 急性冠症候群
【コラム】ACS急性期の心エコー図の役割―その特徴と限界を理解し,非侵襲性という強みを最大限に利用する
武井 康悦
1
Yasuyoshi TAKEI
1
1東京医科大学病院 循環器内科
pp.48-57
発行日 2013年1月1日
Published Date 2013/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100499
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急性冠症候群(ACS)急性期において,心エコー図は初療時にほぼルーチンワークとして行われていることが多い。使用の主なポイントとしては,
1. 壁運動異常の評価
2. 左室機能評価
3. 併存疾患の確認(弁膜症など)
4. 急性大動脈解離や肺塞栓症などの鑑別
などが挙げられる。ここで特に重要なことは,局所壁運動と心臓全体の機能の評価である。“局所”壁運動異常の検出は診断の,そして心臓“全体”の機能評価はACS急性期のリスク層別化の助けになると考えられる。
しかし,心エコー図の役割は,上記のごとく“それなり”に存在するものの,ACSの診断ツールとしてはいまだ補完的な位置であり,また,リスク層別化に関しては豊富な臨床データがないのが実情である。その限界をふまえたうえで,各項目を論じてみたい。
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