特集 急性冠症候群
【コラム】ACSの急性期合併症3―ショック
阿古 潤哉
1
,
村木 浩司
2
Junya AKO
1
,
Hiroshi MURAKI
2
1自治医科大学附属さいたま医療センター 循環器科
2埼玉社会保険病院 循環器内科
pp.153-159
発行日 2013年1月1日
Published Date 2013/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100510
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■CSの短期予後と長期的な経過
この20年間で,急性冠症候群acute coronary syndrome(ACS)の予後は,薬物療法および再灌流療法の進歩により大幅に改善がみられた1)。しかしその一方で,ACSから心原性ショックcardiogenic shock(CS)をきたしたACS症例の予後は,依然として不良(表1)であり,欧米での死亡率は50%程度2~4)と報告され,これは20年間変わっていない。また本邦においても,東京都CCUネットワーク*1の報告が出ており,ACSのCS合併例の急性期死亡率は40.2%と高率を保っている。
一方で,急性期にCSを乗り切り退院に至った症例は,非CS合併のACS症例と同等の予後(年次死亡率8%程度)が期待できる5)という側面もあり(退院後の長期予後は10年にわたるまで比較的良好),「いかにCSを乗り切るか」が大事なポイントとなる。
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