特集 呼吸器離脱
【コラム】開心術後の気管切開―実施時期による予後の変化に関して結論は出ていない
木村 直行
1
Naoyuki KIMURA
1
1自治医科大学附属さいたま医療センター 心臓血管外科
pp.774-777
発行日 2012年10月1日
Published Date 2012/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100475
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患者年齢の高齢化,ハイリスク症例の増加に伴い,開心術後に長期人工呼吸器管理および気管切開術が施行される症例が増加傾向にある1~3)。気管切開術は,長期人工呼吸器管理を必要とする症例には確立された治療法である4)。気管切開により気道内圧の低下,口腔内の衛生状態の改善,より安全な気道管理が可能になり5~7),鎮静薬の投与量や呼吸器感染症の発生率を減少させ,人工呼吸器からの早期離脱を可能にする7,8)。長期人工呼吸器管理は,死亡率・合併症発生率を上昇させるだけでなく,ICU滞在期間や在院日数の長期化にもつながるため3,9),気管切開の便益は大きい。
しかし,胸骨正中切開施行例において,気管切開術後に胸骨骨髄炎(DSWI)を発症する可能性が提起されてきた。この問題を解明するべく,開心術後の気管切開に関して,多くの後向き研究が実施され,さらに近年,新たな前向き研究が報告された。
本稿では,開心術後の気管切開に関し,これまでの報告を概説し,施行のタイミングや方法が,DSWIの発症リスクに影響を与えるかを中心に議論を展開する。
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