特集 呼吸器離脱
1.標準的な人工呼吸器離脱:歴史,方法―Part 2:SBTの技術的側面
安田 英人
1
Hideto YASUDA
1
1武蔵野赤十字病院 救命救急センター
pp.639-652
発行日 2012年10月1日
Published Date 2012/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100463
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人工呼吸は,ICU入室患者の約30%に必要であり1),ICUにおける患者管理に必要不可欠である。人工呼吸中の人工呼吸器関連肺炎ventilator associated pneumonia(VAP),人工呼吸器関連肺損傷ventilator associated lung injury(VALI)などは,ある一定の割合で発生する合併症であり,ICU滞在日数や死亡率に大きな影響を及ぼす2~8)。人工呼吸器装着時間は,患者予後に関連する独立の危険因子である9,10)ことから,これを可能なかぎり短くすることは,人工呼吸器管理を行う医療従事者にとっての責務といってもよいだろう。
米国では,ICU専従の呼吸療法士が中心となって人工呼吸器管理を行い,人工呼吸開始,日々の微調整,離脱に大きな力を発揮している。呼吸器離脱プロトコルを取り入れることにより,医師主体の人工呼吸器管理よりも早期に離脱が可能であったという報告11,12)も多い。一方,本邦では医師以外が主体となって人工呼吸器管理を行っている施設は少なく13),プロトコルを利用している施設も少ないことが予想される。このような本邦の現状をふまえて,本稿では,自発呼吸トライアルspontaneous breathing trial(SBT)の具体的な適応,方法などについて実践的知識を提供し,その知識を臨床に活用したり,プロトコルの作成ができるようになることを意図した。
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