特集 呼吸器離脱
2.人工呼吸器離脱困難―Part 1:疫学,原因,治療
田中 竜馬
1
Ryoma TANAKA
1
1Pulmonary & Critical Care Medicine, LDS Hospital
pp.653-663
発行日 2012年10月1日
Published Date 2012/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100464
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人工呼吸器を装着している期間のうち,人工呼吸器離脱にかかる期間が占める割合は40~50%にもなる1~3)。そのため,人工呼吸器離脱の遅れは人工呼吸器装着日数に大きく影響する。人工呼吸器装着日数が長くなれば死亡率は上昇し3),さらに医療費を増加させる結果になる。ある報告によると,人工呼吸が7日間以上必要だったのは人工呼吸器を要した患者全体の6%だが,この6%の患者に費やされた医療費は,ICU患者全体の37%に上った4)。
このように,医学的にも医療経済的にも大きな影響をもつ人工呼吸器からの離脱であるが,事故/自己抜管の患者のおよそ半数が再挿管を必要としない5)ことから,医療者側の要因により,人工呼吸器が必要以上に長期間使用されている可能性も示唆される。しかし一方では,重篤な呼吸器疾患あるいは非呼吸器疾患のために,長期人工呼吸器管理が必要になることもある。
本稿では,人工呼吸器離脱困難の疫学,原因,治療について述べる。
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